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文集「笛吹きたち」第1号
「笛吹きたち」第1号は今から40年前に創刊されました。
これは「笛吹きたち」第1号の表紙です。
ある日、外苑ビルのレッスン室で「先生、笛吹きたちと書いてください。」と紙とマジックペンをお弟子さんから渡され、その場で書いた記憶があります。それが文集の題字となって今に至っています。「もう少し練習してから・・・」と思いましたがこうしてみると今もさほど変わっていません。いや、今の方が下手になっているかも知れません。
この本は持っているお弟子さんは少ないことでしょう。私の手元にはレッスン室に1冊あるだけです。表紙は和紙です。
ご覧ください。ガリ版刷りです。今の若い方はそう言ってもピンとこないでしょうね。鉄筆、ロウ原紙、やすりを用いて手で書くのです。ロウの付いたところを削ってそこにインクを流し紙に印刷するのです。大変な作業でした。その後、ワープロが現れ手書きとガリ版と併用した時期があります。そうしてパソコンが取って代わる時代となり現代に至っています。
謄写版刷り、紙切り、出来上がってページ合わせ、キリで穴開け、たこ糸通し。どれも大変な作業でした。原稿が集まってから仕上がるまでに大勢の協力と永い時間が必要でした。ワープロ時代は手書きの原稿から打ち込みの仕事が増えました。お弟子さんから、一般的なB5またはA4で作製する方が簡単であるという意見が出ましたが、私はかたくななに反対した覚えがあります。時代の流れに合わせて本も変わりましたが、そのときから変わっていないものは和綴じ、縦書き、本の寸法、たこ糸の穴通しでしょうか。
制作過程の作業を考えると一段と飛躍しました。現在はメールで原稿を出して下さるようになってきましたので打ち込み作業が無くなりました。仕事が一点集中型になったことも時代の流れです。今一番大変な仕事と言えば原稿催促(センセイがお弟子さんに涙ながらにあの手この手で訴えています)、パソコン上の編集の仕事と印刷会社との交渉(河野洋子さんが永年一人でやって下さっています)、穴開け、糸通し、準会員に発送、この時年会費と本代の請求書を同封することなどです(レッスン室に収容できる人数の有志のお弟子さんの協力を得て一日で仕上げます)。
仕事が簡素化したことによって失われたものがあります。それは完成の喜びが昔と違うことです。険しい山道を登って頂上に着いた時の喜びと、ハイキングでケーブルカーに乗って頂上に登った時の違いでしょう。それと同時に協力して作って行く間に生まれるお弟子さん同士の交流も少なくなったようです。
これは第1号の巻頭言です。今は自分で師匠などと言っていることを考えると当時は随分謙虚でしたね。
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こんなことから「笛吹きたち」は始まったのです。良かったですね。年1回になって。
今、レッスン室には第1号から40号の笛吹きたちが本棚に並んでいます。その中には大勢のお弟子さんの文章があり40年近くの歴史が刻まれています。あと何冊発行出来るかは「神のみぞ知る」----。これには皆様が「良い子」となって協力して下さることが必要です。
時間があったら「笛吹きたち」のバックナンバーのデジタル化を実現させ会員のページにアップしていきたいと考えていますが、今の私にはそれをする時間がありません。どなたかボランティアで協力して下さると嬉しいのですが----。
(先生こと・石原利矩 2012年4月20日)
今後、この「笛吹きたちの再録」を続けていきます。大変な作業です。皆様のご協力を期待しています。
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