閑話休題

閑話休題 その14


すっとんきょう   石原 利矩

すっとんきょうーその1のまくら
 オーケストラで音を合わせるときにオーボエのa' (1点ラ)を用いることは世界共通である。そのためオーボエ奏者は神経を使う。完璧な絶対音感を持っていれば問題は無いがそうも言っていられない。そこで音叉やチューナーに頼る人もいる。この音を基準にしてその後の演奏会が続くのだから大変重要な役目である。折角、苦労して音高を伝えても演奏の途中ではあちこちで高くなったり低くなったりする。おまけにこの役目を司っても給料に特別手当は出ない。

すっとんきょうーその1 お弟子さんAの場合
フルートの場合は頭部管の抜き差しで音を合わせる。
場所:レッスン室

Aさんの練習してきた曲を伴奏するために師匠はピアノの前に座ってこう言いました。
「それではアー(a)の音を出してください」
Aさん、突然
「ア〜〜」
と歌い出した。

すっとんきょうーその2のまくら
 音楽の稽古には楽譜が必須である。見やすいもの、見づらいもの。たまの大きさ、五線の間隔など出版社によりさまざまである。よく見えるかどうかは照明も左右する。加齢により視力が変化することもある。その対策に楽譜の拡大コピーをする人がいる。

すっとんきょうーその2 お弟子さんBの場合
久しく拡大コピーの恩恵をこうむっている年配のBさんの述懐
「先生、最近練習時間がいやに長くかかるようになりました。これは拡大コピーして楽譜のたまが大きくなったせいですね。」

すっとんきょうーその3 お弟子さんCの場合
 最近、課題として渡された曲は難しいパッセージが多く、しかも速い動きだ。幸いその曲のCDが発売された。勇んで買い求めて聴いてみた。
次のレッスンの時に彼女はこうのたもうた。
 「先生、うちのCDプレーヤー壊れています。だって回転が速いんですもの・・・」

すっとんきょうーその4 お弟子さんDの場合
 発表会後のレッスンで
 お弟子さんD「先生、この前の発表会で聴きに来た家族に誉められました。」
 師匠「良かったね。だいぶ上達したからね。なんて言って誉められたの?」
 お弟子さんD 「曲の長さが短くて良かった-------って」