閑話休題 その13
舌先三寸 石原 利矩
舌先三寸と言う言葉がある。口先だけの巧みな弁舌。うわべだけのうまい言葉で、心や中身が備わっていないことを言う。 フルーティストにとって単純に舌先と言えばタンギングで使う先端の1センチぐらいの場所を考えるだろう。これが9センチとなると舌先と言う言葉はどうもしっくり来ない。なぜ舌先がそんなに長いのかは腑に落ちない。 先日テレビを見ていたら舌ベロの模型が出てきてびっくりした。扁平な舌ベロの奥には底深い筋肉の厚い層があり、うまく言い表せないが筒型の帽子の上の方に庇(つば)が付いているような塩梅である。庇は扁平な舌ベロの部分と考えていただきたい。帽子の部分は加齢により下降していき舌と上顎の間の空間が広がる傾向にあるという。舌ベロの部分よりも帽子の部分の方が容積はずっと大きいように見えた。こう考えると舌ベロの部分は先端からのどの奥の方までで9センチぐらいで、舌先というのはこの扁平9センチ部分を指し、この部分がうまい言葉を操るのに大きく作用すると思われるので、舌先三寸というのは案外解剖学的に的を得ているのかも知れないと考えた。 筋肉には速い運動をする速筋と遅い運動をする(しかできない)遅筋がある。まぶたや指先は速筋に属し横隔膜や大腿筋は遅筋に属する。 舌先三寸非科学的結論:舌ベロには舌先と舌奥の部分に分けられる。舌先とは上顎に接する喉の奥までの三寸の部分を言い、舌奥とは素人が観察出来ない神秘な部分を言う。 舌のことを科学的に知りたい人はWIKIPEDIAで調べられたい。ただし科学的に理解できたからと言ってタンギングが速くなるかどうかは別問題である。 |